この記事では、AWS認定について、レベルごとの試験内容、資格を取得するメリットを解説します。
AWS認定は、AWS(Amazon Web Services)に関する専門知識を問う資格試験の総称です。
今やAWSのクラウドコンピューティングサービスは、様々な企業・個人が使用しており、欠かせないITインフラツールとなっています。
未経験からITエンジニアを目指したい方にとっては、AWS認定の資格取得をすることで就職や転職にも役立ちます。
AWS認定とは?どんな資格?
AWS認定とは、Amazon Web Servicesに関する専門知識やスキルを有していることを認定する資格のことです。
近年、インターネット上にあるサービスや業務システムなどの多くがAWSのクラウドサービスを使って開発されており、それに伴ってAWSクラウドサービスにおける運用・保守ができる人材の価値が上がっています。
そのため、認定資格を持つことは、AWSに関する専門家としての証明になり、社内での発言や就職、転職活動などで有利に働くことになるのです。
AWSでアプリ開発を行うエンジニアはもちろん、AWSに構築されたシステムを運用するエンジニアや、AWS上のアプリケーションの企画や提案を行う方にとってもメリットのある資格となっています。
AWS認定の種類
AWS認定は、4つのレベルに分かられおり、認定は全部で12種類あります。
レベルは下から順に「FOUNDATIONAL(ファンデーショナル)」「ASSOCIATE(アソシエイト)」「PROFESSIONAL(プロフェッショナル)」「SPECIALTY(スペシュリティ)」があり、それぞれの認定があります。
レベル | 認定名 |
---|---|
FOUNDATIONAL | Cloud Practitioner |
AI Practitioner | |
ASSOCIATE | SysOps Administrator |
Developer | |
Solutions Architect | |
Data Engineer | |
Machine Learning Engineer | |
PROFESSIONAL | Solutions Architect |
DevOps Engineer | |
SPECIALTY | Advanced Networking |
Machine Learning | |
Security |
以下に、それぞれの認定について概要を紹介していますので、どんな資格なのか確認して、自分に合ったAWS認定を取得していきましょう。
FOUNDATIONAL(ファンデーショナル)
- Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)
- AI Practitioner(エーアイプラクティショナー)
Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)
概要:
Cloud Practitioner は、AWSクラウドの基本的な概念、サービス、セキュリティ、料金体系、およびアーキテクチャの原則を証明する基礎レベルの認定資格。
技術的なバックグラウンドがない方でも、クラウドの基本を学び、AWS 環境を理解するのに適しています。
対象者:
- クラウドの基本概念を学びたい初心者
- AWSを業務で利用するビジネス担当者(営業、マーケティング、管理職など
- AWSの基礎知識を身につけたいエンジニアやIT担当者
- AWS認定資格の入門として取得を考えている方
AI Practitioner(エーアイプラクティショナー)
概要:
AI Practitioner は、AI(人工知能)、ML(機械学習)、および生成 AIの基本概念やユースケースに関する知識を証明するAWS の基礎レベル認定資格。
試験では、AI/MLの基本概念、生成 AIの応用、責任あるAIのガイドラインなどが問われます。
対象者:
- AI/MLの基礎知識を学びたい初心者
- AWSのAI/MLサービスを活用するが、開発を専門としないエンジニアやビジネス担当者
- 生成 AIや基盤モデルに関心があり、AWSの関連技術を学びたい方
- AI/MLを活用した意思決定を行うマネージャーやプロダクトオーナー
ASSOCIATE(アソシエイト)
- SysOps Administrator(シスオプスアドミニストレーター)
- Developer(デベロッパー)
- Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
- Data Engineer(データエンジニア)
- Machine Learning Engineer(マシーンラーニングエンジニア)
SysOps Administrator(シスオプスアドミニストレーター)
概要:
SysOps Administratorは、AWSクラウド環境の運用、管理、自動化、監視に関する知識とスキルを証明する認定資格。
システムの可用性、セキュリティ、パフォーマンスの最適化、トラブルシューティングなど、AWSの運用管理に特化した内容が問われます。
対象者:
- AWSクラウドの運用・管理を担当するシステム管理者(SysOps)
- クラウドインフラのデプロイや運用自動化を行うITエンジニア
- AWSの監視、ログ管理、セキュリティ強化に携わる技術者
- AWS Associate レベルの資格取得を目指す方
Developer(デベロッパー)
概要:
Developerは、AWS 上でのアプリケーション開発やデプロイに関する知識とスキルを証明する認定資格。
AWS サービスを活用したアプリ開発、サーバーレスアーキテクチャ、データストレージ、デバッグ、パフォーマンス最適化などのスキルが問われます。
対象者:
- AWS上でアプリケーションを開発・デプロイするソフトウェア開発者
- サーバーレスアプリケーションやマイクロサービスを扱うエンジニア
- AWS SDK、API、CLIを活用した開発に携わる技術者
- AWS Associateレベルの資格取得を目指す方
Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
概要:
Solutions Architectは、AWSのクラウドアーキテクチャ設計に関する知識とスキルを証明する認定資格。
スケーラブルで高可用性、コスト効率の良いアーキテクチャの設計や、AWSのベストプラクティスに基づいたシステム設計・運用のスキルが問われます。
対象者:
- AWS上でシステムアーキテクチャを設計・構築するエンジニア
- クラウド移行や最適化を担当するITアーキテクト
- AWSの設計原則やベストプラクティスを学びたいエンジニア・管理者
- AWS Associateレベルの資格取得を目指す方
Data Engineer(データエンジニア)
概要:
Data Engineerは、AWS環境におけるデータエンジニアリングのスキルと知識を証明する認定資格。
データの取り込み、変換、保存、管理、セキュリティ、ガバナンス、プライバシー、スキーマ設計など、データエンジニアリング全般に関する能力が問われます。
対象者:
- データエンジニアリングまたはデータアーキテクチャの実務経験がある方
- AWSのデータ関連サービスを 1~2 年使用した経験がある方
- データの取り込み、変換、モデリングの知識がある方
- データセキュリティ、ガバナンス、スキーマ設計を理解している方
- データパイプラインやデータレイクの運用に携わる方
- AWSを活用したデータソリューションに関心がある方
Machine Learning Engineer(マシーンラーニングエンジニア)
概要:
Machine Learning Engineerは、AWS環境における機械学習 (ML) ワークロードの設計、構築、デプロイ、保守に関するスキルと知識を証明する認定資格。
試験では、MLソリューションの設計、データエンジニアリング、モデルトレーニング、デプロイメント、運用の各分野における能力が評価されます。
対象者:
- 機会学習(ML)エンジニアリングの実務経験が1年以上ある方
- AWSのML関連サービス(Amazon SageMaker など)を使用した経験がある方
- データ処理やMLモデルのトレーニング・デプロイの知識がある方
- DevOps、データエンジニアリング、データサイエンスの経験がある方
PROFESSIONAL(プロフェッショナル)
- Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
- DevOps Engineer(デブオプスエンジニア)
Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)
概要:
Solutions Architectは、AWSクラウドの設計、構築、運用に関するスキルを証明する認定資格。
スケーラブルで高可用性、耐障害性、コスト効率の良いアーキテクチャ設計が求められます。
対象者:
- AWS上でシステム設計・構築を行うエンジニア
- クラウドアーキテクチャの設計・最適化に携わる方
- AWSのベストプラクティスや設計原則を理解したい方
- クラウド移行やハイブリッド環境の設計を担当する方
DevOps Engineer(デブオプスエンジニア)
概要:
DevOps Engineerは、AWS環境における CI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー)、オートメーション、モニタリング、セキュリティ、可用性の確保などのスキルを証明するプロフェッショナルレベルの認定資格。
対象者:
- DevOpsプロセスの設計・運用に携わるエンジニア
- CI/CDパイプラインの構築・管理経験がある方
- AWSのオートメーション・監視ツールを活用できる方
- クラウド環境のセキュリティと可用性を向上させたい方
- インフラのコード化(IaC)に関する知識がある方
SPECIALTY(スペシュリティ)
- Advanced Networking(アドバンスネットワーキング)
- Machine Learning(マシーンラーニング)
- Security(セキュリティ)
Advanced Networking(アドバンスネットワーキング)
概要:
Advanced Networkingは、AWS環境およびハイブリッドクラウド環境における高度なネットワーク設計、実装、最適化、セキュリティに関するスキルを証明する認定資格。
対象者:
- AWS上でのネットワーク設計・構築・運用経験がある方
- ハイブリッドネットワーク(オンプレミスとAWSの接続)を扱うエンジニア
- AWSネットワークサービス(VPC、Direct Connect、Transit Gateway など)を活用できる方
- 高可用性・セキュアなネットワークアーキテクチャの設計に関心がある方
- ネットワークの自動化や最適化に関する知識を深めたい方
Machine Learning(マシーンラーニング)
概要:
Machine Learningは、AWS 環境での機械学習(ML)ソリューションの設計、構築、デプロイ、運用に関する高度なスキルを証明する認定資格。
データ処理、モデルトレーニング、最適化、セキュリティ、MLOpなどが問われます。
対象者:
- MLの実務経験が1~2年以上ある方
- AWSのML関連サービス(Amazon SageMaker など)を使用した経験がある方
- モデルのトレーニング・デプロイ・最適化に関する知識がある方
- MLOps、データ処理、モデルのモニタリング・管理を行うエンジニア
- クラウド上での ML アーキテクチャ設計に関心がある方
Security(セキュリティ)
概要:
Specialty は、AWS環境におけるセキュリティの設計、実装、モニタリング、リスク管理に関する高度なスキルを証明する認定資格。
データ保護、インシデント対応、アクセス管理、コンプライアンスなどが問われます。
対象者:
- AWS環境のセキュリティ設計・管理経験がある方
- IAM、KMS、CloudTrail などAWSのセキュリティサービスを活用できる方
- セキュリティインシデント対応やリスク評価の経験がある方
- クラウドのセキュリティベストプラクティスを理解している方
- コンプライアンス要件(ISO27001、SOCなど)に関心がある方
AWS認定の試験について
AWS認定には4つのレベルで、合計で12の認定があり、それぞれの試験について概要を表にまとめました。
受験を考えているものについて事前に確認しておきましょう。
レベル | 認定名 | 試験時間 | 問題数 | 受験料(USD) |
---|---|---|---|---|
FOUNDATIONAL | Cloud Practitioner | 90分 | 65問 | $100 |
AI Practitioner | 90分 | 65問 | $100 | |
ASSOCIATE | SysOps Administrator | 130分 | 65問 | $150 |
Developer | 130分 | 65問 | $150 | |
Solutions Architect | 130分 | 65問 | $150 | |
Data Engineer | 130分 | 65問 | $150 | |
Machine Learning Engineer | 130分 | 65問 | $150 | |
PROFESSIONAL | Solutions Architect | 180分 | 75問 | $300 |
DevOps Engineer | 180分 | 75問 | $300 | |
SPECIALTY | Advanced Networking | 170分 | 65問 | $300 |
Machine Learning | 180分 | 65問 | $300 | |
Security | 170分 | 65問 | $300 |
- 試験時間や受験料は変更される可能性があるため、最新情報はAWS認定公式サイトで確認してください。
AWS認定を取得するメリット
AWSでアプリ開発を行うエンジニアはもちろん、AWSに構築されたシステムを運用するエンジニアや、AWS上のアプリケーションの企画や提案を行う方にとってもメリットのある資格です。
- AWSについての知識が身につく
- 就職やキャリアアップに繋がる
AWSについての知識が身につく
AWS認定を取得するための勉強を通じて、AWSのサービスについて効率よく学習できます。
基本的な情報はもちろん、最新のAWS情報をベースにした問題が出題される傾向にあるため、正しく新しい情報を身に付けることができるのです。
ちなみに、AWSのアソシエイトレベルを全て取得すると、AWSアーキテクトから開発者、運用担当者まで利用するサービスについて把握できるようになります。
プロフェッショナル認定までも制覇できれば、AWSについて確かな知識と技術が身についていることの証明になり、ビジネスにおいて重宝される人材となるでしょう。
就職やキャリアアップに繋がる
AWSを使用する企業は年々増加しており、AWSを取り扱えるエンジニアには将来性があります。
また、エンジニアとして働きながら、AWS認定資格を取得できるように整備されている企業もあり、転職を考えるエンジニアであれば、AWSを活用している企業を選ぶのをオススメします。
そうした企業を紹介してくれる転職サービスもありますので、この機会にAWS認定資格を取得してエンジニアへの転職を成功させてみてはいかがでしょうか。
AWSの合格に向けた勉強方法とは?
AWS認定の資格取得に向けた勉強方法として、参考書や問題集を購入して勉強するのが基本です。
その他に、AWSについて学べるスクール、オンラインで学べるeラーニングのサイトなどもありますので、自分に合った勉強方法を見つけましょう。
ちなみに、AWSの試験を受ける前に、公式サイトでオンライン講座を受講することができます。
オンライン講座では、試験問題の確認だけでなく、質問をすることもできるので、合格に向けてもう一押ししたいという人は、ぜひ活用してみてください。
模擬試験で最終確認しよう!
AWS認定では、模擬試験を受けられます。試験勉強を一通り終えた後は、確認として模擬試験を受けてみましょう。
模擬試験は有料となりますが、実際に本番に近い問題を解いてみることで試験の雰囲気を体験して備えられます。
ただし、本番である試験と比べて問題数も制限時間も少なく設定されているので、あくまでも雰囲気を掴むためのものとして活用してください。
クラウドプラクティショナーの模擬試験の例 | |
問題数 | 20問 |
試験時間 | 30分 |
試験料金 | 2,200円 |
模擬試験は、オンラインで受講可能なので、本番の試験前に受けて手応えがあるか確認すると安心です。
インフラエンジニアを目指している人にとってAWS認定は、取得しておくべき資格のひとつですが、他にもオススメの資格があります。
特に、未経験でインフラエンジニアを目指している人であれば、インフラエンジニアの登竜門とも呼ばれる「CCNA」や「LinuC」もオススメです。