
こんにちは。テックタイムズ編集担当です。
近年、クラウド技術の発展により、多くの企業が物理サーバーからクラウド環境へと移行しています。
その中でも、Amazonが提供するクラウドプラットフォーム「AWS(Amazon Web Services)」は、世界中で圧倒的なシェアを誇り、国内外の企業から高い信頼を得ています。
こうした流れを受け、AWSの設計・構築・運用を担う「AWSエンジニア」の需要が急増しています。
企業が求めるインフラの柔軟性やスケーラビリティ、セキュリティ対策を実現するために、AWSに精通した専門エンジニアの存在は欠かせません。
また、AWSエンジニアは他のITエンジニアと比べても高い給与水準を誇り、スキルを磨くことで年収アップやフリーランスとして独立するチャンスも広がります。
この記事では、AWSエンジニアの仕事内容や年収、必要とされるスキル、そして未経験からAWSエンジニアを目指すためのステップをわかりやすく解説します。
クラウド分野でキャリアを築きたい方や、AWSに興味がある方はぜひ参考にしてください。
AWSエンジニアとは?
AWSエンジニアとは、Amazon Web Services(AWS)を活用してクラウドインフラの設計・構築・運用を行う専門職です。
企業のシステムをクラウド上に移行したり、既存のAWS環境の最適化を図ったりすることで、柔軟で拡張性のあるインフラを実現します。
AWSエンジニアの役割
AWSはグローバルな市場で高いシェアを誇り、多様な業界で利用されています。
そのため、AWSエンジニアは企業のITインフラを支える重要なポジションであり、クラウドを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する役割も担います。
AWSエンジニアの主な役割は以下の通りです。
クラウドインフラの設計・構築 | ビジネス要件に合わせた最適なAWS環境を設計・構築する。 |
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システム運用・保守 | AWS上で稼働するシステムの監視・運用・障害対応を行う。 |
セキュリティ対策 | AWSにおけるアクセス制御、データ保護、脆弱性管理を実施する。 |
コスト管理・最適化 | クラウド利用料を分析し、コスト削減を図る。 |
自動化の推進 | Infrastructure as Code(IaC)を活用し、インフラの構築・運用を自動化する。 |
インフラエンジニア・クラウドエンジニアとの違い
AWSエンジニアは、インフラエンジニアやクラウドエンジニアと役割が重なる部分もありますが、以下のような違いがあります。
AWSエンジニア
主な環境 | AWS環境 |
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担当領域 | AWSサービスに特化した設計・構築・運用 |
求められるスキル | AWSの深い理解と専門知識 |
自動化・DevOps | AWS CloudFormation、Terraformなど |
クラウドエンジニア
主な環境 | マルチクラウド |
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担当領域 | AWS含む複数のクラウドプラットフォーム |
求められるスキル | AWS、Azure、GCPなどの知識 |
自動化・DevOps | 各クラウドの自動化ツール |
インフラエンジニア
主な環境 | オンプレミス(物理サーバー) |
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担当領域 | ネットワーク、サーバー、データベース |
求められるスキル | OS、ネットワーク、ハードウェア |
自動化・DevOps | 一部スクリプト利用 |
AWSエンジニアは、AWSの最新技術を迅速に習得し、システムの可用性・スケーラビリティを確保することが求められます。
AWSエンジニアが担う主要な領域
AWSエンジニアは、以下4つの主要領域を担当します。
① 設計 | ② 構築 |
③ 運用 | ④ 保守 |
① 設計
ビジネス要件に基づいたAWSインフラのアーキテクチャ設計 |
可用性・拡張性・セキュリティを考慮した設計 |
② 構築
AWSの各種サービスを使用したインフラ構築 |
Infrastructure as Code(IaC)を活用した自動化 |
③ 運用
システムの稼働状況を監視し、パフォーマンスを最適化 |
トラブルシューティングと障害対応 |
④ 保守
定期的なシステムアップデート、セキュリティパッチの適用 |
システムの安定稼働を維持するための保守活動 |
これらの領域を幅広くカバーし、AWS環境の設計から運用までを一貫して担当するのがAWSエンジニアの仕事です。
AWSエンジニアの主な仕事内容
AWSエンジニアの主な仕事である、以下5つについて解説します。
- AWS環境の設計と構築
- システム運用・監視・トラブルシューティング
- セキュリティ管理とコンプライアンス対応
- パフォーマンス最適化とコスト管理
- 自動化(Infrastructure as Code、CI/CDパイプライン構築)
AWS環境の設計と構築
- クラウドインフラの設計、要件定義、構築
- 各種AWSサービス(EC2、S3、RDS、VPCなど)の導入・設定
- 高可用性・耐障害性を考慮したアーキテクチャの設計
システム運用・監視・トラブルシューティング
- 稼働中のシステムの監視と障害対応
- Amazon CloudWatchを使用したパフォーマンス監視
- 障害発生時の迅速な原因特定と復旧作業
セキュリティ管理とコンプライアンス対応
- AWS IAMを用いたアクセス制御と認証管理
- セキュリティグループやネットワークACLによるネットワーク保護
- PCI DSSやISO 27001などの規格準拠対応
パフォーマンス最適化とコスト管理
- AWS Cost Explorerを活用したコスト分析と最適化
- 使用状況の定期的な確認と無駄なリソースの削減
- オートスケーリングの導入によるリソースの最適利用
自動化(Infrastructure as Code、CI/CDパイプライン構築)
- AWS CloudFormationやTerraformを使用したIaCの実践
- AWS CodePipeline、CodeBuildを活用したCI/CDパイプライン構築
- 手動作業の自動化による作業効率向上と人的ミスの削減
AWSエンジニアの年収・市場価値
AWSエンジニアの年収は他のITエンジニア職種と比べて高水準で、日本国内におけるAWSエンジニアの平均年収は、約600万円〜800万円程度とされています。
企業規模や地域、担当業務によっても異なりますが、特にAWS認定資格を取得しているエンジニアは高い評価を受けやすく、給与面でも有利になります。
経験年数・スキルレベル別の年収例
経験年数・スキルレベル | 年収目安 |
---|---|
未経験〜1年(ジュニア) | 400万円〜500万円 |
3年〜5年(ミドル) | 600万円〜800万円 |
5年以上(シニア) | 900万円〜1,200万円以上 |
アーキテクト・リーダー | 1,200万円〜1,500万円以上 |
特に、AWS認定ソリューションアーキテクトやAWS認定DevOpsエンジニアなどの高度な資格を持つエンジニアは、1,000万円を超える年収を目指せます。
フリーランスAWSエンジニアの収入と案件単価
フリーランスのAWSエンジニアは、スキルと実績次第でさらに高収入を目指すこともでき、AWS環境の設計・構築案件では、月単価80万円〜150万円の案件も珍しくありません。
案件内容 | 月単価目安 |
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設計・構築 | 80万円〜120万円 |
運用・保守 | 60万円〜90万円 |
DevOps・CI/CD構築 | 100万円〜150万円 |
フリーランスとして高単価案件を獲得するためには、AWS認定資格の取得や実務経験の積み重ねが重要です。
年収アップを目指すポイント(資格取得・スキル習得)
それぞれの概要を紹介します。
AWSエンジニアとして年収を上げるためには、以下3つのポイントを意識することが大切です。
- AWS認定資格を取得する
- 最新技術の習得に努める
- プロジェクトマネジメントスキルを磨く
AWS認定資格を取得する
AWSが公式に認定している、以下の資格を取得します。
- AWS認定ソリューションアーキテクト
- AWS認定DevOpsエンジニア
- AWS認定セキュリティ
まずは、AWS認定ソリューションアーキテクトから始めると良いです。
最新技術の習得に努める
- コンテナ技術(ECS、EKS)
- サーバーレスアーキテクチャ(Lambda)
プロジェクトマネジメントスキルを磨く
- 大規模システムの設計・構築経験
- チームリーダー経験
これらのスキルと資格を習得することで、AWSエンジニアとしての市場価値を高め、キャリアアップを実現できます。
AWSエンジニアに求められるスキル
必須スキルと持っている尚良しのスキルを紹介します。
AWSエンジニアの必須スキル
AWSエンジニアとして活躍するためには、以下の基本的なスキルが求められます。
- AWSの基本サービスの理解
EC2(仮想サーバー)、S3(ストレージ)、RDS(データベース)、VPC(ネットワーク)など、主要なAWSサービスに精通していること。 - インフラ構築・運用スキル
AWS環境でのサーバー、ネットワーク、データベースの設計・構築・運用経験。 - Linux/Windowsサーバーの知識
基本的な操作やシステム管理、トラブルシューティングのスキル。 - ネットワーク基礎
TCP/IP、DNS、VPN、ルーティングなどのネットワーク技術の理解。
AWSエンジニアが持っていると尚良しのスキル
- IaC(Infrastructure as Code)ツールの利用
AWS CloudFormation、Terraformを使用したインフラの自動構築と管理。 - コンテナ技術
Docker、Kubernetes、AWS ECS/EKSを活用したコンテナオーケストレーション。 - セキュリティと可用性設計
IAMによるアクセス管理、暗号化、監査ログ、災害対策(DR)設計。 - プログラミングスキル
Python、Shell、Goなどのスクリプト言語を活用した運用の自動化とCI/CDパイプライン構築。
AWSエンジニアはこれらのスキルを総合的に身につけることで、より高度な案件を担当し、キャリアアップやフリーランスとしての独立を実現できます。
AWSエンジニアになるためのステップ
AWSエンジニアは、高度なクラウド知識と実務経験を必要とする専門性の高い職種ですが、未経験からでも計画的に学習を進めることで目指すことができます。
この章では、AWSエンジニアになるために必要な知識の習得から実務経験を積む方法まで、具体的なステップを解説します。
ITインフラの基礎を押さえた上で、AWS特有の技術やツールを体系的に学ぶことが成功の鍵となります。
ITインフラの基礎を学ぶ(Linux、ネットワーク)
AWSエンジニアを目指す第一歩は、ITインフラの基礎をしっかりと学ぶことです。
- Linuxの基本操作
ファイル管理、権限設定、ネットワーク設定など。 - ネットワークの基礎
TCP/IP、サブネット、DNS、ルーティング、VPNの概念を理解。 - 仮想化技術
仮想マシンやコンテナの仕組みを学ぶことで、クラウド理解が深まります。
AWSの基本サービスを理解・触る
AWS公式ドキュメントやチュートリアルを活用し、実際にAWS環境を操作することで理解を深めます。
- 主要サービス
EC2(仮想サーバー)、S3(ストレージ)、RDS(データベース)、VPC(ネットワーク) - 無料利用枠
AWSには無料利用枠があり、コストをかけずに学習を始められます。
AWS認定資格を取得(SAA、SAP、DVA など)
AWSエンジニアとしてのスキルを証明するために、AWS認定資格の取得は非常に有効です。
- AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト(SAA)
- AWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル(SAP)
- AWS認定DevOpsエンジニア プロフェッショナル(DVA)
実務経験を積む(社内プロジェクト・副業・フリーランス)
資格取得後は実際の業務で経験を積むことが重要です。
- 社内プロジェクト
AWSを活用した社内システムの構築・運用に参加。 - 副業・フリーランス
クラウド構築案件を受注し、実践力を磨く。
コミュニティ・勉強会で情報収集・交流
AWSは日々進化しているため、最新情報をキャッチアップし続けることが大切です。
- 勉強会参加
AWS SummitやJAWS-UG(AWSユーザーグループ)に参加。 - オンライン学習
AWS公式ブログやWebinarで最新技術を学ぶ。
これらのステップを確実に進めることで、未経験からでもAWSエンジニアとして活躍できる道が開けます。
AWSエンジニアのキャリアパス
AWSエンジニアからのキャリアパスには、以下の4つがあります。
- クラウドアーキテクト
- DevOpsエンジニア
- SRE(Site Reliability Engineer)
- フリーランスAWSエンジニア
それぞれの概要を紹介します。
クラウドアーキテクト
AWSを含むクラウドプラットフォーム全体の設計や戦略立案を担うポジションです。高度な設計能力や企業の要件に応じた最適なクラウド環境構築のスキルが求められます。
DevOpsエンジニア
開発と運用の連携を強化し、CI/CDパイプラインの構築、自動化、監視を行う役割です。AWS環境でのオートメーションスキルや継続的デリバリーの知識が必要です。
SRE(Site Reliability Engineer)
AWSインフラの可用性、スケーラビリティ、パフォーマンスを確保するためにシステムの設計と運用を行います。トラブルシューティングやパフォーマンス最適化スキルが求められます。
フリーランスAWSエンジニア
AWS案件を個人で請け負い、柔軟な働き方が可能です。多様なプロジェクト経験とコミュニケーションスキルが重要となります。
まとめ
AWSエンジニアは今後も高い需要があり、クラウド分野におけるキャリアアップのチャンスが豊富です。
未経験からAWSエンジニアを目指す場合でも、ITインフラの基礎から学び、AWS認定資格を取得し、実践経験を積むことで確実にステップアップできます。
将来性のあるクラウド技術を身につけ、専門性を磨くことで、自分の市場価値を高め、より多くのキャリアの選択肢を広げましょう。